先日、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授であり、精神科医でもある本田秀夫先生の講演会に行ってきました。
本田先生は、テレビ等のメディアでも様々な事を伝えて下さっており、また著者も多数あるのでご存知の方も多いかもしれません。
300人は入る会場は満席で、立ち見の方々もいらっしゃいました。
何故定員オーバーになったのか?
「ライフステージに応じた発達障害の理解と支援」というタイトルだったのですが、発達障害の方によっては、予約の為の電話一本に大変な煩わしさを感じる方もいらっしゃいます。
なのでもっと間口を広げ、ふらっと誰しもが立ち寄れるくらいの講演会にしたいというお考えがあったそうです。
いつも思うことですが、精神神経科の先生や心理学の先生方は、深い思い遣りを持った方、柔らかな雰囲気の方が多いなと感じます。
ですが、伝えるべきはしっかりと伝えていく、そんな強さも感じています。
発達障害は、正確には神経発達症というのだそうですが、神経学的多様性への視野を持つ大切さを仰っていました。
つまり、支援側の問題が多々あるということです。
それは支援側が悪いということではなく、今現在の情報伝達システム、また誤った情報の撹乱というところに問題があるように思います。
そしてやはり、視点をどこに持つか、ということが重要なのではないでしょうか。
私の先生も常に「誰のための支援なのか」ということを仰っています。
支援側の自己満足のためでは決してない、ということです。
発達障害(神経発達症)の方に接するときに「せめてこのくらい」「ちゃんとやりなさい」はNGワードになるそうです。
何故なら自己肯定感が下がるからです。
そしてこちら側が、いつも同じ接し方をしていくのが重要だそうです。
そうしながら環境面を整えていく。
講演会では、様々に詳しく説明されていたのですが、とても心に残っているのは「挨拶等で人間の価値を決めない」ということです。
確かに社会生活において挨拶というのはとても大事なものです。
しかし、挨拶はきちんとするけれども、裏側では悪事を企んでいるような人もたくさんいます。
反対に、挨拶は苦手だけれど、人間としてはきちんとしている、ある要素ではとても能力が高い人もたくさんいるのです。
多様性、そして理解と合意が重要だと私も思います。
本田先生の講演は、頭脳明晰を活かされながら抜群のユーモアセンスで、会場はリラックスした雰囲気でした。
ユーモアの一環として、ご自身の著書もさりげなく宣伝されていたのですが、興味のある方は是非手にされてみてください。
とても分かりやすく、内容は正確で濃いです。
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