自己防衛本能という言葉をご存知の方も多いと思います。
不安な状況を前もって避け、自己を防衛しようとする反応、すなわち身を、心を、生命を守る為の無条件反応です。
人が環境に対してどう反応するのか、その無意識な過程による様々な反応の仕方を防衛規制といいます。
今回は、その防衛規制を大きく分類し、10項目記していきます。
狙いとしては、人間が備えている身体の仕組み、心の仕組みを理解することにより、自分を俯瞰的に捉えていくことです。
そして同時に、自分の心の裏側を知ることにより心の動きを把握しておく、「分かっている安心感」を得ることです。
(1) 逃避
逃避とは、不安を感じる場面から、逃れようとする防衛規制です。
現実への逃避は、困難な事態に直面するのを避け、その事柄とは直接的に関係のない別の行動を始めて、没頭することにより、不安を解消しようとするものです。
例えば、趣味や娯楽に熱中して気を紛らす等です。
空想への逃避は、現実の困難な状況から自由な空想の世界へ逃げていくことです。
現実では満たされない自己実現を夢見ることで、代償的満足を得ていきます。
病気への逃避は、病気を理由にして困難な事態から逃れようとすることです。
無意識に生じるものもあり、身体症状が表れる場合もあります。
退避とは、自己評価の低下に繋がる場面から回避していくことです。
退避が習慣化すると、現実の多くのものから自分を隔離し自閉に発展する可能性があります。
(2) 反動形成
自分の不安、罪悪感、攻撃的感情等、抑圧されて無意識になっている感情が、意識や行動に現れないように、それと正反対の意識、行動、感情を示す防衛規制です。
例えば、本当は辛いのに明るく振舞ってみたり、仲良くしたいのに、そっけない態度をとってみたり等です。
自分に不安を抱かせるような内容を、無意識の中に押し込む規制であるとも言えます。
(3) 同一視
同一視とは、他人と同じように考えたり振る舞うことにより、その対象を自己の中に取り入れて、自己評価を高めようとする防衛機能です。
例えば、芸能人や著名人、テレビの主人公や権威ある人物の言動や服装等を真似たりしながら、自分の評価を高めようとする心理過程です。
②に続きます。
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